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『近づくと避けられる』
~経営者のマインドセットの秘密 Vol.46~

エグゼクティブ コーチング トレーナーの
秋山 ジョー 賢司です。


今回は、【近づくと避けられる】
というテーマでお話ししたいと思います。

(近づくと避けられる?
 また、ドキッとするテーマですね)

社長というのは、社員といい関係を築きたい
と思い、いろんな努力をされていますよね。

ある社長からこんな相談を受けました。

 ↓   ↓   ↓

====================
Q社員から避けられている気がします。

私は、フランクな社風を作ろうと意識的に
社員に近づき、話しかけているのですが…


話をしている時、相手の体が後ろに引けて
いて、それがしばしば気になります。


社員からは、話すのが嫌という感じはなく、
よく受け答えもしてくれます。
でも、体が引けているのです。


やっぱり、嫌われているのでしょうか?


50代 A社長

====================

(A社長、切ないですよね…
 きっとA社長なりに気を使っているのに。
 やっぱり社長って孤独な生き物なのでしょうか…)


孤独な生き物かどうかわかりませんが、
「生き物」であることは、明確ですよね。


(なに、ふざけているんですか!
 そういうことを言っているのではないです!)


いえいえ、大切なポイントです。

(?)

 
「生き物」はバウンダリーというものを持っています。


(バウンダリー?)


境界線のことです。


(はぁ…)


例えば、
大草原で生活しているインパラ(草食動物)
は、ライオンが遠くいれば平気な顔をして
いますよね。

(離れていれば平気ですからね)


では、どれくらい近づいたら危険を感じる
のでしょうか?


(ある程度近づいてきて、ヤバイかなって思っ
た時でしょう)


ヤバイって思った時ってどれくらい?


(それは、“なんとなく”じゃないのかな〜)


“なんとなく”ではないんです。

その逃げ始める相手との距離はあらかじめ
決まっているのです。
それがバウンダリーです。

バウンダリーとは、自分と相手の間にある
見えない境界線。


その線を相手が侵入しなければ、自分が安心
を保てる。それを超えたら危険だ、という
ライン。なのです。


インパラもバウンダリーを持っていて、
ライオンがバウンダリーに踏み込んだことを
合図に逃げ出します。


(明確なラインがあったんですね)


そして、このバウンダリーは動物の種類に
よってその距離が違います。


警戒心の強い動物は、バウンダリーを広く
取っています。
相手がかなり遠くにいてもそれは、その動物
にとってはバウンダリーに侵入されているの
で、逃げ始めます。


警戒心の薄い動物は、かなり近くにバウンダリー
を持っているので近づいてもなかなか逃げません。


(なるほど、警戒心ってそういうことなんですね)


そしてこのバウンダリーは、人間にもあるのです。
「生き物」なので。


(あっ、そこにつながるんだ)


相手が近づきすぎて、居心地悪いな〜
って感じることは、誰しもありますよね。


(あります!)
(私の知人で、やたら近づいて話してくる人
 がいるのですが、圧迫感があります)


その人のこと嫌いですか?

(いいえ!好きですよ。面白い人だし。
 ただ、話す時に距離が近いので、なんと
 なく落ち着かない時があるだけです)


このバウンダリーですが、
人によって個人差があります。


(A社長はもしかすると、バウンダリーが
 近い人なのかな〜)  


その可能性もありますね。


バウンダリーが近い人は、うっかり相手の
バウンダリーを超えてしまうことがあります。

それが、相手の身体が引いてしまっている
理由になることも多いです。


(気をつけないと)


逆にバウンダリーが遠すぎる人には、
相手にどんな印象を与えると思いますか?


(なんだろう?)


常に人とある程度の距離を保とうとするの
で、「そっけない」「愛想がない」「嫌わ
れている」と勘違いされる場合もあります。


(そっか!)


でも、本人はそんな気はないのに。
ただ、ただ、自分が安心して話せる距離を
取ろうとしているだけなのです。


(誤解されるのも悲しいですね…
  どうすればいいのですか?)


まず、自分が比較的バウンダリーを近くに
取っている人なのか、遠くに取っている人
なのか、を知ってください。


自分を観察すればわかると思います。


(はい)

もし自分のバウンダリーが近い人であれば、
もしくは、相手がバウンダリーを遠くに取り
たい人であれば、ちょっとだけ距離をとって
話をしてください。


あなたは少し、寂しく感じるかもしれません
が、相手は「安心」して、あなたの話を聞く
ことができるでしょう。


(なるほど)


もう一つ。
人は、自分の左右より、正面方向の方に
たくさんスペースを、欲しがります。


言い換えると、
人は、正面より左右の方がバウンダリーが
近くなる、つまり近づいても大丈夫、という
傾向があると言われています。


(左右の方が?)


電車で知らない人が左右に座っても、
平気ですよね。


(逆に、ボックス型の電車で正面に人が座る
  となんか居心地悪いですよね)


ですから、少し横からアプローチするという
コツもあります。


(斜めからってことですね)


自分や周囲の人を観察してみると
バウンダリーがよく見えてきます。

(なるほど〜。バウンダリーかぁ〜。
 つくづく人間も「生き物」なんだな〜と実感しました)


バウンダリーの概念を知って
上手に活用してくださいね。


最後に【バウンダリー】を扱う
ためのSelf Question をお伝えします。


Q私は、その人に安心感を与える距離を保っ
  ているだろうか?


Q私は、相手に「そっけない」と思われる
   距離を無意識にとっていないだろうか?


あなたは、この質問になんと応えるでしょうか?
自分を活かす天才になる旅、今週も楽しんで下さい♪


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  Joeの自分を極める言葉
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怖い と 危ない は違う。
    
          by Joe


怖いことは、避けなくていい。
危ないことは、避けるべき。
ビジネスにおいて、
怖いことを避けようとするから、
判断を間違える。
怖いことは、怖いと感じるだけ。
大丈夫だから。